2017年11月16日木曜日

鯖街道に想いを馳せて ~C-RSで紅葉を巡る滋賀福井100㎞ライド~


古代、京都の朝廷へ食料を献上する御食国(みけつくに)のひとつだった若狭。日本海の海の幸が、福井の小浜から京都の大原を結ぶ若狭街道などを通って運ばれていました。特に18世紀後半からは多くの鯖が水揚げされ運ばれたことから「鯖街道」とも呼ばれています。若狭湾で獲れた鯖に一塩し、夜も寝ないで京都まで運ぶと、ちょうどよい味になっていたとか。

立冬も過ぎ、吹く風も冷たく感じられるようになった11月の中旬、琵琶湖西岸の高島市を起点に日本海に面する小浜市へ向かい、標高約820mのおにゅう峠を経て起点に戻る約100kmのルートをC-RSで試走してきました。山ではちょうど紅葉シーズンが始まろうかとしている頃、美しい景色の中を洗練されたニューモデルで走り抜けることができました。(画像クリックで拡大します)


今回のルートは、琵琶湖の西岸に位置するJR安曇川駅を起点に設定しました。JR大阪駅から湖西経由敦賀行き新快速を利用すれば乗り換えなしでアクセスできるほか、駅周辺にはリーズナブルな料金で利用できる駐車場もあるので、輪行のほか車でのアクセスにも向いています。早朝、安曇川駅を2台のC-RSでスタートしました。


起点から安曇川沿いに北西へ向かう県道23号は、勾配が緩やかでまだ暖まっていない身体には程よい運動になります。辺りの木々は紅葉し始めており、北へ向かうほどに見頃となった紅葉を楽しめました。


県道23号が国道367号と交わる近くにある道の駅 くつき新本陣に立ち寄り、昼食用に鯖寿司を購入しました。今回の100kmライドの裏テーマは鯖街道。ここから若狭街道(鯖街道、京街道)を走ることになります。多くの行商人が行き来したことを想像し、これからのライドに気持ちが高ぶります。

 道の駅 くつき新本陣では鯖寿司、鯖のなれずし、栃餅、朽木産原木しいたけといった名産品のほか、毎週日曜に開催される朝市も有名で、多くの人で賑わう。

この地域の名産品ともいうべき栃餅。トチの実をもち米と共についたもので独特の風味がある。今回の補給食の一つとしてこちらも購入しました。


国道から少し道を外れ、杉木立を走ります。山の静寂と澄み切った空気が気持ち良い。


当日は雲ひとつない快晴。絶好のコンディション中、軽快なペダリングで一路福井県を目指しました。


近世中期以降、街道最大の中継地となった熊川宿を経て、福井県若狭町に入りました。左手の山裾に並ぶ古い町並みは、鯖街道の名残です。現在も塗り壁の商家や土蔵など多数の伝統的建造物が残る旧街道筋と、広大な田園の風景にしばらく見とれました。

 ここから5km、写真奥の山と山の間の辺りが熊川宿。熊川宿では問屋たちが、小浜の仲買が送り出した大量の物資を馬借や背負に取り次ぎ、京都などに運ばせた。一日千頭の牛馬が通ったとも言われる。

国道から県道35号に入りました。この辺りは鯖街道の主要な道、若狭街道ではありませんが、いくつもの道からなる鯖街道の一つです。川沿いののどかな風景を前に、しばし立ち止まりました。


徐々に勾配がきつくなり、ダンシングを多用して一定のリズムで上りを進みます。


途中、勾配10%を超える斜路を経て、登山ルートの入り口「鯖街道御休処 助太郎」に到着しました。小浜、京都と記載されているとおり、ここも鯖街道の一つとして使われていました。

 鯖街道御休処 助太郎は古民家を改装して平成28年にオープンした、旧集落住民有志が運営している鯖街道を歩く方の休憩施設で、鯖街道の資料が展示(4月~11月の土日)されているほか24時間お手洗いも利用できる。

すでにルートの半分を消化しました。道の駅で購入した鯖寿司をいただきます。


鯖寿司。塩鯖を酢でしめたもの(奥)、焼いた鯖を乗せたもの(手前)の2種類があります。竹の皮に湿度を持たせて鮨を室温で保存されています。

 海から遠い京都の町では、日本海側の福井県若狭地方で水揚げされた真鯖に一塩をしてから荷車で山を越えて運ばれていた。塩鯖の鮮度、鯖の骨抜き、酢の甘さ加減、竹の皮に湿度を持たせて鮨を室温で保存する、冷蔵庫の無い時代の工夫であった。鮮魚が豊富な現代でもこの食文化は継承されている。

登山ルートには鯖街道の入り口看板も設けられていました。若狭湾でとれた鯖を行商人が京都まで運んだ、歴史ある街道の一つです。


一部舗装が荒れている箇所もあり慎重に走りました。標高が増すごとに木々の色づきが鮮やかになってきます。


頂上付近。西に少し傾いた太陽光が乱反射しています。まさにこの場所でしか味わうことができない絶景です。


今回の目的、おにゅう峠に到着しました。標高800m超の峠からは稜線の先に日本海を望むことができます。

 ロケは11月中旬に行った。間も無くすると木々が更に赤みを帯び、美しい景色となる。

南斜面を少し下った、撮影の定番スポットからの眺めです。天気の良い日の早朝には雲海を見ることもできる場所で、この日も高機能なカメラを携えた人たちを見掛けました。


おにゅう峠から下ること数km。毎週金曜日しか営業していない幻のパン屋「山中屋製パン」に立ち寄りました。自家製天然酵母を使い石窯で焼いた手作りの味が堪能できます。

 国内産の小麦に、開業以来掛け継いで来た天然酵母、粗糖、天日塩、グレープシードオイルを加え、捏ね上げてから5時間かけて醗酵させる…自然が持つ力強さや美しさに育まれたパン生地は、意思を持っているかのように一つ一つが表情豊かで、山のエネルギーが詰まっている。余分な材料ができるだけ省かれた山中屋製パンのパンは、毎週金曜日にこの店頭で購入できるほか、道の駅 くつき新本陣でも土曜日に並べられる。

卵、牛乳、バターを使わないその製法は店主曰く「味がしませんよ」と謙遜されていましたが、生地や練りこまれた具材の確かな味が噛むほどに口中に広がります。

 天然酵母パンは、焼きあがり時=劣化のスタートではない。クラスト(皮)のかりっとした美味しさとやクラム(中身)のしっとりとした舌触りは焼きたてが一番だが、一方でパンの味と香りが落ち着き、味わいが増すのは焼成より2〜3日経ってからだという。同店では3種類の酵母(レーズン酵母、黒米酵母、ライ麦酵母)を使っていて、その味、香り、食感の違いを楽しむのも面白い。工程では、酵母をおこして殖やすのに6〜10時間、その後発酵力を落ち着かせるために寝かす時間に10時間を要している。

こんなかわいらしいパッケージも。手ごろな値段ということもあり、自転車で訪れたにも関わらず、つい買いすぎてしまいました。


紅葉シーズンにうってつけの今回のルートは総距離100km。峠越えがメインとなるため、時間に余裕をもって走行計画を立てることをお勧めします。



今回走行したルート

琵琶湖西岸のJR安曇川駅を起点に日本海に面する小浜市へ向かい、標高約820mのおにゅう峠を経て起点に戻る約100kmのルートです。距離や標高はビギナーにとって大きな壁ですが、自然あふれる景色を眺めながらのライドは格別です。山深いルートで一部携帯の電波も届きにくい箇所もありますので、機材故障等不測のトラブルが起きても対処できる装備、慣れた方とのライドをお勧めします。



今回使用した車体

C-RS 105 Link → スペック等詳細
カーボンコンプリートモデルとしてラインナップの中核を担う。エアロシェイプされたディティールの中で際立つのがダウンチューブ。角断面化させたパイプはラウンドパイプ に比べ剛性を増している。標準で25C幅のタイヤが装着され、最大で28C幅のタイヤが装着可能。ワイヤー類をインターナルルーティングとし外観をすっきりさせエアロ効果も高めている。最大の特徴はアワーグラス形状のヘッドチューブにあり、前面投影面積を減らすことと整流効果を高めることに成功している。
Frame size:420S / 450S / 480S / 500S / 520S / 540S / 560S / 580S
Color:CRJW / CRJK / CRJB

 使用車体Size:480S(身長170cm前後向け)、使用車体Color:CRJW(ホワイト)

 使用車体Size:520S(身長180cm前後向け)、使用車体Color:CRJK(ブラック/レッド)

 太陽光の下で輝くラメ塗装が鮮やかさを醸し出す。ワイヤーはヘッドチューブにインサートされ空力を向上。

 ダウンチューブ底面、フォーク内部にもデザインを施す。カーボンフロントフォークはコラムもすべてカーボン製。

 走りの要となるダウンチューブ上面は角断面加工。剛性アップに加え、流麗なディティールを実現。


今回の記事で使用した製品
 ♦ バイク:COLNAGO
 ♦ サイクルジャージ:COLNAGO
 ♦ アンダーウェア:OUTWET
 ♦ ヘルメット:LAS
 ♦ シューズ:Lintaman


※この記事で紹介しているスポットや情報は2017年11月時点の取材に基づいています。
※自転車での走行時は、交通法規を厳守するとともに交通マナーにもご配慮ください。